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ラッキーパパ

Author:ラッキーパパ
向日葵のように明るかった妻が突然倒れました。5人の子どもたち(T:18、Y:16、K:13、ラッキー:犬1…全員♂・年齢は当時 2016年より猫1が参加)と共になんとか生きています。詳しくは「はじめに」で。

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ピンクのパジャマ 【2010-02-06(土) 21:50】
妻が倒れてから23日。意識不明になってから22日が経ちました。

今日は夕方、母と一緒に会って来ました。
妻は、私が先日スーパーで買ってきたパジャマに着替えていました。

100206.jpg

いつも2人で買い物をしていたスーパー。
私は、ひたすらカート押しと、荷物持ち専門でした。
「このおサカナ、どう?」とか、「今夜はスパゲッティでもいい?」とか、何を聞かれても、「いいよ」と答えるだけ。

私の着る物でさえほとんど妻が選んでいたので、こうして妻のものを私一人で買うというのは、初めてのこと。
婦人服売り場で、ちょっと恥ずかしかったけれど、安いのと、ちょっと高めのと、ピンクのパジャマを2セット選びました。
妻はとにかくピンクが好きで、我が家は子どもたちも、イヌも、全員♂だけど、トイレや風呂のマットなど、ほぼピンク系で占められています。

今日も妻は目をうっすらと開け、瞬きをしたり、口をしきりに動かしていました。1日ごとに反応が良くなっている気がします。

 まっすぐに向かい合うと、じーっと見つめられている感じになる。
  まるで幼子のよう。
  あれ・・・抱っこしてほしいときのラッキーの目に似ている・・・。
  心からいとおしいと思った。

  * * *

妻は「1日でもいいから、パパよりも長く生きさせてって、カミサマにお願いしてるの。だって私が先に死んだら、パパがかわいそうだから」と、言ってました。

じっさい、世の多くの夫たちと同じように、妻がいなくなったら私は生きていけないと思っていました。

しかし、いまこうなって振り返ってみると、それは妻の心までも私から離れた場合のこと。
お互いの愛情関係が変わらず、しかも妻はちゃんと生きているのだから、物理的にはいろいろとタイヘンだけど、精神的にはそれほど問題ではないと感じています。

日々感じる幸福感は、妻が元気な頃とそれほど変わっていない・・・どころか、むしろ深くなっているような気さえするのです。

命を奪われるよりも、夫婦の絆が絶たれるほうが、はるかにつらいということを実感しています。

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夫婦の時間/想い出 | 【2010-02-06(土) 21:50】 | Comments:(4)
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ココロに届く言葉 【2010-02-10(水) 23:00】
妻が倒れてから27日、意識不明になって26日目。

今夜は、先日新しく買った別のほうのパジャマを着ていました。
妻が好きだったピンク系の花柄。
入院のとき、病院スタッフに言われるまま院内の売店で買った、味もそっけもない浴衣は3500円もしたけれど、このパジャマはその半額以下。
いつも妻についてカートを押しをしていたディスカウントストアで見つけた物です。

100210.jpg

乾燥のせいか少しカサついている感じはあるけれど、手も、顔も、元気だった頃のままだった。

左目のほうは、ほぼ普通に開いているので、ただ眠っているだけというのではないんだろうけれど、意識不明というのは、いったいどういう状態なんだろうと、思う。

顕在意識が活動を止めて、潜在意識がむき出しの状態で開かれているのだとすれば、今のうちにいろんなことを刷り込んでおこうかな、なんて思ったり。

妻に顔を近づけて、今までのことを感謝したり、謝まったり、思い出話をしたり、愛の告白をしたり・・・今夜は久しぶりに私一人だったので、ゆっくりといろんな話をしました。
「今までほんとに幸せだったね、楽しかったね」と。
「でも、これからはもっと幸せになるよ」と。

何を言っても、妻はじっとまっすぐにこちらを見据えたまま。
だからこそ、かえって、ひと言ひと言が、そのままココロの中に入って行っているような気がしました。
言葉が、そのまま妻のココロに届いているような感じがあったのです。

12日(金曜日)には、またMRI検査をする予定です。
見た目的にはかなり落ち着いてきているのと、血圧やいろんな数値もほぼ正常値レベルなので、きっと良い結果が出ると信じています。

夫婦の時間/想い出 | 【2010-02-10(水) 23:00】 | Comments:(2)
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いつも一緒だった朝市 【2010-02-14(日) 19:51】
妻が倒れてから31日、意識不明になって30日目。

容態は変わらず。悪くなっていないだけ、良しとしないと。

6人部屋に5人。
不思議なことに、そのうちの3人が「あやさん」というお名前だった。

じつは妻は「あやさん」という人にあこがれていた。
あやさんは、私が昨年仕事で知り合った人。
妻はまだ電話でしか話したことがなかったけれど、「これからの自分の人生で、大きな意味をもつ人になると思う」と、会える日を心待ちにしていた。

同じ病室のうち、妻以外の4人のうち3人が「あやさん」。
縁というのは不思議なものです。これも単なる偶然なんだろうか。

  * * *

日曜日の朝は、駅前のスーパーの「朝市」に買い出しに行くのが妻の日課だった。
駅前にあるせいか駐車場がないので、妻を降ろした後、私は少し離れたドラッグストアに車を停めて、約30分間、ラッキー(イヌ)の散歩をした後に、また迎えに行くというのが、いつものパターンだった。

今日、その「朝市」に一人で行ってみた。たしかにかなり安い気がする。
牛肉78円/100g、豚肉58円/100g。妻はいつも大量に買い込んで、冷凍保存していた。
少しでも安く買うということに対して、並々ならぬ意気込みを持っていて、よく私に「これ、いくらだったと思う? グラム50円だよ」とか、自慢げに話した。

「こんなに買って、いったい誰が食べるの?」と驚く私に、
「おたくの子どもたちよ。このぐらい、あっという間に食べてしまうんだから」と応える妻。

いつも「母さんが作る料理が一番おいしい」と言っていた子どもたちは、今は、「おばあちゃんの作る料理は、母さんと同じくらいおいしい」と言いながら、母親が入院中であろうが、食欲はまったく変わらない感じです。

夫婦の時間/想い出 | 【2010-02-14(日) 19:51】 | Comments:(1)
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1ヵ月が経ちました 【2010-02-15(月) 20:26】
先月の今日、妻が倒れました。まる1ヵ月になります。
いまだ意識のないまま、いったいどんな夢を見ているのだろう。

正月、近所の神社に歩いて初詣に行ったとき、妻は「今年はきっと良い1年になるね」と話していた。

宝くじを買うたびに「今度は、どうしても当たる気がするの」と言うほど、楽天的というか、プラス思考というか、思い込みが激しいというか・・・。
「宝くじが当たって人生がおかしくなる人がいるけど、私たちはゼッタイそんなことないよね、だいじょうぶだよね」なんて、当たったときのことをホンキで心配している様子がとても面白かった。

「宝くじが当たるより、交通事故で死ぬ確率のほうがよっぽど高いような気がするけど…」などというヤボな突っ込みは当然、完全無視だった。

「今年はきっと良い1年になるね」――これだって毎年、同じことを言うんだけれど、今年だけはなぜか確信をもって言うので、ほんとにそんな気がしたんだよなあ。

その2週間後、妻は倒れて意識を失ってしまった。

あの雲ひとつない明るい笑い声が聞けないのは寂しいけれど、でも、家族の絆が強まり、人の哀しみや優しさを感じ、希望を持ち続けることができているのは、とっても運が良いことであるに違いない――いまはそう思っています。

今年の年賀状にも書いた言葉。

   経営の神様・松下幸之助翁曰く、
   「運の良い人とは、自分は運が良いと思っている人」だそうです。

どんなことがあっても、ココロの持ち方次第で、今年をほんとに良い1年にすることができると信じています。

我が家には名前からして、運がいいラッキーがいるんだし。

夫婦の時間/想い出 | 【2010-02-15(月) 20:26】 | Comments:(10)
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家族の支え 【2010-02-18(木) 22:27】
妻が倒れてから35日、意識不明になって34日目。
今日は、珍しく昼のうちに病院に行きました。

朝方まで降っていた雪もやみ、ポカポカと暖かくとっても良い天気。
こんな日は、いつもラッキーを連れて一緒に近所を散歩したのに。

明るい空の下、それでも妻はあいかわらずスヤスヤと眠り続ける。
目の前にいるのに、手を伸ばせば暖かな肌にさわれるのに、きっと言葉も届いているのに、どうしても、そこにはいないと感じてしまう。
毎日こうして会っているのに、もうずいぶん会っていないような気がしてしかたがない。

結婚して20年。朝も昼も夜も、ほとんどいつも一緒だった。
こんなに離れて暮らしたのは、初めてのこと。

ペアのコーヒーカップや、キレイにたたんだバスタオルや、出窓に並んだ鉢植や、買い置きしてあった調味料や、化粧品や、歯ブラシや・・・家の中のいろいろなものが妻につながっていて、ふとしたキッカケでそこから想い出の数々が流れ込んでくる。
それは、ほんの1ヵ月ちょっと前のことなのに、もうすっかり手が届かない懐かしい色になっていて、私の胸を息苦しくさせる。

冷凍庫に残っていた妻の手作りのハンバーグ。
昨夜、母はそれを普通に焼いて、子どもたちはそれを普通に食べていたけれど、私は、これが最後の手作り料理になったらどうしようという思いが込み上げて、なかなか飲み込むことができなかった。

きっと帰ってくる。
そう信じているし、子どもたちにもそう言い聞かせている。
それでも、どうしてもマイナスの思いが出てきてしまう。

どうも今日は、少し気持ちが哀しさや寂しさのほうに傾いている。
病院で、同室の患者さんの「ここから出して。家に帰りたい」と訴える声を聞いたからかもしれない。
目覚めたとき、妻が感じるであろう、苦しみや絶望や屈辱を、どうしてもどうしても想像してしまう。
妻の耳元で、「早く帰ろう。ここは私たちのウチじゃないよ。早くウチに帰って、また普通に暮らそう」――同じことを何度も何度も語りかけた。

「こんなにも人を愛せるなんて」――いつも妻はそう言っていた。
その気持ちは、私にもよく分かった。なぜなら、私も同じだったから。
今はより一層それを強く感じている。
その妻への愛が、強さや希望よりも、なぜか今日は寂しさや哀しさにつながってしまう。

ああ、妻と子どもたちを守り、支える私が、こんな状態ではいけない。しっかりしないと。
昨日は泣いていた3男も、なんとか元気を取り戻し、今日も普通に学校に行った。

2男は、兄弟のなかでは一番優しい性格だから、寂しがる弟のために、受験の最終段階に入った兄のために、そして父のために、いつもどおりマイペースを装っている。
「母さんとはココロがつながっているから、だいじょうぶ」と言って笑った。

長男は、とにかく現実をポジティブに受け止めようと、ひたすら明るく、希望を振りまいている。
自分自身は受験で追い込まれているはずなのに・・・。

臨時に家事を手伝ってくれている母は、何があっても、たんたんと家事をこなしてくれる。もっともっと深い谷、険しい山を越えてきた人だ。

ラッキーは、どんなに私の不安な気持ちを吹きかけても、大好きなオヤツをもらったり、散歩に連れ出すと、コンマ0秒で、はしゃぎ出してくれる。

みんなほんとうにありがとう。
ケータイの待ちうけ画面を、妻の写真に替えたら少し元気になった。
妻が帰ってきたら、またラッキーの写真に戻そうと思う。

庭に積もった雪は、もうすっかりとけました。
春はもうすぐですね。

夫婦の時間/想い出 | 【2010-02-18(木) 22:27】 | Comments:(9)
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気長に待ちます 【2010-02-20(土) 22:38】
妻が倒れてから37日、意識不明になって36日目。

今日は新潟から妻の実家の両親と弟夫婦が来てくれた。
言葉に反応してかどうかは分からないけれど、少し体を反らしたり、首を動かしたりしてくれたので、手術直後に見たときよりは、ずっと良くなっているという印象をもっていただけたと思う。

こんな状態ではあっても、やっぱり会えばみんな笑顔になれる。
みんな私と妻の結婚によって親戚になった人たち。
私たち夫婦は、それぞれ相手の親のことが大好きで、ずっと実の親と変わりなく慕ってきた。
今日も、畑で採れた白菜や、ヒジキを使った郷土料理や、お菓子などをどっさり頂いた。

義父母は、私の母に「ほんとに申し訳ありません」と、しきりに謝っていた。
自分の娘が倒れたせいで、私の母が迷惑していると思っているようす。
「もう私の妻になって20年ですよ」と笑ってごまかしたけれど、何歳になっても娘は娘なんだなあと、しみじみと感動してしまった。

夕方、私一人で病院に行くと、妻は眼を閉じて寝ている感じだった。
ここ2、3日は、あまり眼を開かなくなって、私は少し寂しい思いをしていた。
それで、結婚前のデートのことや、一緒に生活を始めた頃のこと、3日間もかかった長男の出産のときのことなど、あれこれ思い出話をしていたら、また目がうっすらと開き始めて、口も動き出した。

「いろいろ部屋の整理をしているとき、つい昔の写真に見入ってしまったんだけど、どの一年、どの一月をとっても、私たちはなんて幸せだったんだろうって感じたよ。子どもたちが『父さんと母さんは、すごく幸せだったと思う』と言ってたけど、ほんとにそうだよね。あなたは、何が一番楽しかった? 私はねえ…」

――なんて、楽しくて、懐かしくて、いつまでたっても話が尽きそうにない。
何か言葉が返ってきたわけではないし、表情が変化したわけでもないけれど、ふしぎと会話をしているように感じた。
何年も何年も語り合ってきたときと同じような懐かしさがあった。きっと通じている。
こんどまた個室にして、泊り込みで話してみようかと思った。

一度目が開きながらも、なかなか意識が戻らないことに、少し焦りや不安のようなものが出てきていたけれど、今日はなんだか吹っ切れた気がする。

とにかく、信じて、ゆっくり構えて、気長に待とう――そう思えました。
それが3ヵ月でも、1年でも、10年でも、とにかく待っている間は希望があるんだし。

夫婦の時間/想い出 | 【2010-02-20(土) 22:38】 | Comments:(4)
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初めての爪切り 【2010-02-21(日) 22:27】
  ちょっとブログのレイアウトを変えてみました。
  とくに意味はないんですけど、なんとなく気分転換したくて。

  * * *

妻が倒れてから38日、意識不明になって37日目。

昨日、病院に行った時、ふと妻の指先を見ると、ずいぶん爪が伸びていることに気がついた。
そいえばもう1ヵ月以上も爪を切っていないことになる。

そこで今日は妻のために爪切り持参で。
妻の爪は小さく丸まっていて、どうも切りにくい。
深爪をしたり、間違って指を傷付けても、何も反応できないだろうから、慎重に慎重に、パチンパチンと。

思えば20年間も一緒に居て、爪を切ってあげたのは初めてのことだ。
この手で、夫を支え、3人の子どもを育ててきた。
今まで何度、家族のために米を研いだだろう。
何度、Yシャツやセーターを手洗いしただろう。
切られてはじける爪さえも、いとおしく思えてしまう。

爪切りは初めてだったけれど、髪を染める時はいつも手伝っていた。
ちょうど倒れる2~3日前に染めたばかり。
せっかくキレイに染め上がったのに、手術のために全部切られてしまった。
だけど、その髪もこの1ヵ月の間に、少しずつ伸びてきている。
元の長さまで伸びる頃には、妻はどんな状態で、どこに居るんだろう。

気管が狭いために口から吸入用の管は入っているけれど、妻は手術直後からずっと自発呼吸を続けている。
息を吸って、吐いて、ちゃんと生きようとしている。
爪も髪も普通に伸びている。
顔色も悪くないし、痩せこけた感じでもない。
ニコッと笑いさえすれば、ほとんど元のままの姿のように見えた。

帰りに、母から頼まれた買い物のために100円ショップに立ち寄る。
ついでに、その下の階にある食品スーパーに立ち寄ってみると、たまたま今日が閉店セールということで、棚の商品のほとんどがなくなり、残ったわずかなものも、半額以下の投売り状態だった。
近所に、ディスカウントショップができた頃から、妻もめったに行かなくなった店。
「ここ、そのうちにつぶれるかもね」と言ってたっけ。

みんな、タイヘンな時代に生きているんだなあと思いました。

夫婦の時間/想い出 | 【2010-02-21(日) 22:27】 | Comments:(6)
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神は越えられない試練は与えない 【2010-02-22(月) 23:18】
妻が倒れてから39日、意識不明になって38日目。

また、目が少し開き始めてきています。
言葉による反応はないけれど、目の前に顔をもっていくと、不思議とじっと見つめ合うという状況になって、なんだかとてもいい雰囲気です。
こんなに顔を近づけて、長い時間じっと見つめ合うのは、新婚の頃はいざ知らず、そんなにあることではなかったから。

去年のテレビドラマに「仁」というのがありました。
現代の医師が幕末にタイムスリップして、坂本龍馬らと絡みながら活躍するという筋書き。
結構ヒットしたのでご覧になった方も多いと思います。
妻は、このドラマがお気に入りで、毎週、楽しみにしていました。

私は、仕事の流れがあってオンエア時には見られないことが多いので、テレビ番組は録画をしたものを見るというパターンがほとんど。
「先に見ててよ」と言っても、なぜかこのドラマだけは、「一緒に見ようよ」と言って、私の時間があくのを待っていた。
妻はボタンがいっぱい付いたリモコン操作があまり得意ではなく、CM飛ばしもあまりうまくなかったから、きっと「CMスキップ当番」を期待されているんだろうな・・・と私は思ってました。
結局、初回から最終回まで、録画したものを一緒に見ました。

初回かその次だったか、江戸時代にタイムスリップした主人公の仁(医師)が、開頭手術をするシーンがありました。
そのときは、まさか自分たちがその当事者になるなんて、想像もしていなかった・・・。

ドラマ自体は、結局、大切なことは何も分からないまま最終回も終わってしまい、どうも消化不良な感じだったけれど、毎回、繰り返されるテーマにとても印象に残る言葉がありました。
それは、「神は越えられない試練は与えない」というフレーズ。

ドラマの中では、しつこいぐらいに、しかもこじつけのように繰り返されるので、「なんだかなあ・・・」と、私はいつもちょっとひいた感じで呟いていたけれど、妻は目に涙を溜めて見ていることが多かった。

病院など、1年に1度も行かなかったのに、今は毎日、通うようになってしまいました。
日本の高度な医療技術には、とても助けられていると感じる反面、患者や家族に対する精神的なサポートは、まだまだ置き去りにされているような気がしてならない。

日本の「おもてなしの心」は、いま世界中から注目されています。
「思いやり」や「おもてなし」の心は、何百年、何千年もかけて私たちの祖先たちが築き上げてくれた民族の財産だと思う。それは世界に誇れる宝物。

だけど、病院のなかでは、その精神はほとんど生かされてないような気がしてならない。
ホテルやデパートのようにサービス業としての自覚を持つべきだとまでは思わないけれど、体や心が傷付いた人が集まる所なんだから、もう少し、「思いやり」や「おもてなし」の心があっても良いんじゃないかなあ、と思わされる日々です。
どうも、「先生」と呼ばれる人たちがいるところは、そういう傾向がなきにしもあらずか・・・

夫婦の時間/想い出 | 【2010-02-22(月) 23:18】 | Comments:(8)
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夫婦の時間 【2010-02-27(土) 21:36】
夕方、私一人で病院に。
昨日は、高熱でつらそうだったので、病室に入るときは少し気が重かったけれど、実際に会ってみると、今日の妻は驚くほど穏やかだった。
熱も下がり、左の目は、薄目ではなく、半分以上も開いていた。
左目は光に対して瞳孔の反応が出てきているらしい。

目が開いていると、語りかけるときの気持ちがぜんぜん違ってくる。
私が話すひと言ひと言を、じっとこちらを見つめながら聞いてくれている(ように思える)からだ。

     *

あなたと結婚できて私がどんなに幸せだったか、あなたは分かってるよね。

たまにケンカをすることもあったから1日単位ではつらい日もあったかもしれないけれど、月単位、あるいは週単位で見ると、どの月も、どの週も、幸せいっぱいだった。

子どもたちも、いつの間にか驚くほどりっぱに成長している。

あなたの病気のことはもちろん、人生、やり直したいことはいっぱいあるけれど、あなたと結婚できるという保証がないのであれば、今の人生をそのまま受け入れようと思う。
ああ100回生まれ変わっても、1000回生まれ変わっても、あなたと出会い、共に生きたい。

なんでこんな状態でも、幸せなんだろう。
こんなことになったけれど、それでも私たちは幸せだね。

私たちのことを、心から応援してくれている人たちがいる。
私たちは、多くの人の愛と祈りにつつまれている。
子どもたちもそれを感じて、この世界に感謝している。

私たちは夫婦だ。
愛し合うことを祝福された夫婦。
他の、誰も立ち入ることのできない、本当の夫婦。
病気も死も、私たちを分かつことなどできない。

     *

病院の個室。薬品の臭いが漂うなかだけど、何か不思議な、聖なる空気が満ちているような、神秘的で濃密な時間。

体は今まだ病気に奪われているけれど、心は私の元にある――確かにそう思えた瞬間だった。

夫婦の時間/想い出 | 【2010-02-27(土) 21:36】 | Comments:(0)
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好きだった荒井由美を 【2010-03-07(日) 21:07】
日曜日の今日、久しぶりにゆっくりと(と言っても3時間ぐらい)一緒に過ごすことができた。

ここ1週間ぐらいは、ずっとサラ・ブライトマンやクラシック系の曲ばかりかけていたので、今日は妻が好きだった荒井由美(松任谷ではない)の曲を流してみた。

5~6年前のクリスマス。何らかの理由で二人の関係がギクシャクしていた時があった。
私は、少し怒ったように家を出て、行くあてもなく街をぶらついたけれど、きっと落ち込んでいるであろう妻の顔が目に浮かび、かわいそうでたまらなくなり、彼女が青春時代によく聞いていたという荒井由美の2枚組みCDを買って帰った。

私をどう迎えたらいいか戸惑う妻に、「クリスマスプレゼント」と言ってキレイに包装されたCDを手渡すと、彼女は驚いたようにそれを受け取り、包みを開いた。

「好きだったよね、荒井由美。松任谷じゃない頃の」

「・・・・・」妻の目には涙が溢れ、言葉が出なかった。

大粒の涙を流して、いつまでも泣いた。子どもたちの前でも、かまわずに、思いっきり泣いた。

状況を察した子どもたちが、CDをプレーヤーに入れて再生してくれた。

   ♪ 白い坂道が空まで続いていた・・・

あれから、何かつらいことがあると、妻はよくこのCDを聞いていたっけ。

今日、ずいぶん奥の棚にしまってあったあの時のCDを探し出し、iPodにコピーして病室で流した。

検温に来た若い看護師さんは、「あ、この曲『魔女の宅急便』ですね」と言って笑った。

(ほんとは「ルージュの伝言」なんだけど…、そちら方面からしか知らない世代なんだね。今日は明るい看護師さんで良かった)

検温の間、私が足のマッサージをしていると、足の親指が動いた。
看護師さんも驚いて、「○○さん! もう一度指を動かしてみて!」と5、6回言ってくれた。

その声とは必ずしも連動はしていなかったけれど、その後も何度も親指は動いた。
ただ、私がふくらはぎをマッサージしているときに限って動くようなので、あるツボに来たときに反射的に動いているだけなのかもしれない。

「目も開いているし、こちらの言葉は耳に届いているような気がしますね」と、看護師さんは言ってくれた。

「ありがとうございます。またじっくりと語りかけてみます」

「いつも、とっても素敵な曲が流れていますよね。奥さま、きっと聴いていると思いますよ」といって、看護師さんは出て行った。

二人きりの病室。懐かしいBGM。

その頃の思い出話をしていると、つないだ手の指がぎゅっと締まるようになるときがあった。

意識的に握ろうとしたのか、それとも私の握る刺激に対する単純な反射なのか。

でも、今まではなかったこと。

医学的な判断は別として、私はあらゆることを良い方向に、希望的な方向に受け止めようと思う。

夫婦の時間/想い出 | 【2010-03-07(日) 21:07】 | Comments:(16)
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なんだかロマンチックな夜(の病室) 【2010-03-19(金) 23:56】
(最近FC2ブログのサーバーの調子が悪いのか、UPしてから表示されるまで、かなり時間がかかってしまうようです。

     *

同じ埼玉のT夫妻とMさんが我が家に。
久しぶりにいろいろな議論に花を咲かせることができた。

家が近いので、妻がいた頃は、いつもそのまま深夜まで語り合うのが恒例だったけれど、今日はそのまま病院に面会にも行ってくださったようなので、私は夜遅くに一人で病院に。

     *

ここは病室。22時を過ぎたところ。
一通りのマッサージが終わったので、持ってきたノートパソコンでこの文章を書いている。
ネットにはつながらないけれど、後で家に帰ってからUPすればいい。

妻は、ちょっときつめのマッサージに疲れたのか、はっきりと開いていた目も、いまは薄目で私のほうを見ている。
目線が合う所にいるので、当然といえば当然だけど、じっと見てくれている。
幼子のように、素直で、まっすぐで、愛らしい目。

昼とは違う、柔らかい照明のせいか、なんとなくロマンチックな夜。

ついつい思い出話が長くなる。

     *

――ねえ、あなたと一緒になって20年ちょっと。どの頃が一番幸せだった?

線路沿いの小さなアパートで始めた結婚生活。
2人っきりで、お金もなかったけれど、ものすごく幸せだったよね。

夜、仕事から帰ると、台所の明かりが点いているのが、なんだかとっても嬉しかった。
窓からもれる光の中であなたの影が揺れる。
今日の夕食は何だろう・・・。
「ただいま」と言ってドアを開けると、あなたは向日葵のような笑顔で私を迎えてくれた。

最初にあなたが作ってくれた夕食。
ポテトサラダが好きだと言ったら、大きな皿いっぱいに作ってくれたっけ。
とってもおいしかったけれど、あれはちょっと量が多過ぎ。

でも、全部食べた私に、あなたは内心、驚いていたよね。
こんな大食いだったら、食費がタイヘンだと思ったとか・・・。
私としては、オイシイということを、全部食べることで表現したつもりだけど、じつは翌日の朝の分も考えた量だったなんて・・・。

いろんなことがあった。
でも、いま思い出してみると、どの1日も、どの瞬間も、天国のように幸せだったよね。

そして、いまこの瞬間だって、なんだかとっても幸せな気がするんだよ。

あなたはまだ動けないし、話もできないけれど、こうして私の傍にいて、ただ存在するだけで私を慰めてくれる。
何年か経って、この時代を振り返ったとき、「あの頃が一番幸せだったかも」なんて、そう言えるような気さえする。

     *

私にとって、生涯たった1人の妻。
100回生まれ変わっても、また一緒になろうと誓い合った2人。
ある人が言っていた。「もしかしたら、いまがもう100回目なのかもしれないよ」と。

妻は、もうすっかり目を閉じて、まるでいつものお昼寝のように眠っている。

帰り際のマッサージはやめて、このままそっと帰ろう。

夫婦の時間/想い出 | 【2010-03-19(金) 23:56】 | Comments:(4)
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神秘的な時間の流れ 【2010-03-24(水) 23:44】
病室。夜の9時30分。
外は冬に逆戻りのような寒さだけど、ここはいつも20度に前後に保たれている。

BGMは、Deep Forestから、ちょうど懐かしいユーミンに替わったところ。

スピーカーの所には、誰が置いてくれたのだろう、小さな花瓶に可愛い花が活けてあった。
もう生命の基盤となる大地から遠く離れてしまっているのに、こんなに生き生きと、残された時間をせいいっぱい美しく咲いている。

20100324.jpg

  妻がじっとこっちを見ている。
  だから、私が目を向けると、必ず目が合う。

仕事をしている私の傍には、20年間、こうしていつも妻がいた。

     *
     
今日は、3男がテストの成績が思わしくなかったのか、少し落ち込んでいた。
2男が、「K(3男)のことはオレがフォローするから、だいじょうぶ」と、なんだかとても彼らしくない、頼りがいのあることを言った。
この期間、彼もずいぶん成長したような気がする。

いや家族全体が、数ヶ月前とはぜんぜん違うステージに上がって来ている。
試練や苦労は、人を成長させ、人と人とを深く結び付けてくれる最高の接着剤なんだと実感する毎日。
もしそこに愛がなければ、かえってバラバラになって、崩壊していたかもしれないのだけれど。

たまらなく寂しくなることもあるけれど、決して不幸ではない。
不思議なことだけど、幸せの度合いは、妻が倒れる前とあまり変わっていないと思う。
むしろ、かえって日々幸せを実感することが多い。

つらいのは、その幸せや喜びを、今までのような方法では妻と分かち合えないということだ。
でも、それにしたって、きっと言葉が通じて分かち合えていると信じればいいわけだし。

  妻はまだこちらを見ている。
  ほんとに必ず目が合うから、思わず笑ってしまう。
  (どうした、今日は、ずいぶん起きているね)

  しきりに口を動かしている。
  (ん? 何か言いたいの?)
  (それとも、何か、食べたいの?)
  (もう2ヶ月以上、口から食べてないもんね)
  (今夜はね、私が肉野菜炒めを作った)
  (あなたが作るほどはおいしくなかったけれど、
    それでも子どもたちは喜んで食べてくれたよ)

――いろいろな報告のあと、言葉が尽きて、いや、言葉にできない思いがあふれてきて、長い間、ただじっと見つめ合った。何分も何分も時間が流れていった。

何かが通じている。
宇宙は、この瞬間をきっと記憶している。
――そんな気がしてくるほど、神秘的な時間だった。

冷たい雨や寒さのせいか、今日は少し気持ちが落ち込んでいたけれど、こうしてまた妻に元気と勇気と希望をもらうことができた。

子どもたちに、何かアイスでも買って帰ろう。

夫婦の時間/想い出 | 【2010-03-24(水) 23:44】 | Comments:(4)
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天国と地獄を分かつもの 【2010-03-25(木) 23:50】
病室。夜の10時。
今日も1日中冷たい雨が降っていた。

ご主人を亡くされたruruさんという方からメールをいただいた。
私たちよりまだずっと若いのに、つらい状況を受け止めながら、前向きに日々を過ごしておられる。

「夫は今どこにいるんだろう。天国か地獄か」という内容のruruさんのブログ記事に、「愛のあるところが天国で、愛のないところが地獄だと思う」というようなコメントしたことがあった。

今夜は、そんなことを妻と話し合った。

  むかし、そんなことを話してたよね。
  愛し合う夫婦が、宗教の違いで
  どちらかが天国でどちらかが地獄ということは
  あり得ないって。

  だって、愛する相手が地獄にいるのに
  天国で穏やかに暮らせるはずはないから。
  また、天国に行けるような愛の人であれば
  なおさらそうだろうって。

  「天国も地獄も、きっと私たちの間にあるんだよ」って言ったら、

  「それって、すごい名言!」と、あなたは喜んだっけ。

  「たしかにパパと心が離れると地獄・・・。
   でもほとんど毎日天国! シアワセ!」って。

  「でもさあ、天国がそんなに簡単だったら、
   世界はとっくに平和になってるはずじゃない?」

  「夫婦が愛し合えばいいんだから、簡単なはずだけど、
   でもPTAなんか行くとみんなダンナの悪口言っているんだよね。
   私にはとても考えられない」

宗教的にはいろんな教えがあるのだとは思うけれど、私にとっては、妻と共にいられる所が、天国そのものだった。
「天国」という漢字を分解すると、「二人の国」になるし。
たとえそこが「地獄3丁目」という地名であっても、妻がいれば、それだけで幸せを感じることができるような気がする。

ただ、自分たちは幸せでも、周りに苦しむ人がいるという現実をどうすればいいか、それはそれで難しい問題・・・。
そういうことを踏まえると、二人だけで天国とはいえないかもしれないけれど、少なくとも妻と一緒にいられれば、そして愛が壊れなければ、そこは地獄ではないはず。

そしていまこのひと時も、こんな状況にありながら、妻の寝息を聞けるだけで、幸せを感じることができる。

懐かしい思い出を語り合うだけで、心があたたかくなる。


  ああ、今日もこんなに遅くなってしまった。
  そろそろ帰らないと。
  でも、帰らないでって言ったら、帰らないよ。

――いつか、そう言ってくれる日が、きっと来ると信じたい。

夫婦の時間/想い出 | 【2010-03-25(木) 23:50】 | Comments:(1)
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私のどこが好き? 【2010-03-26(金) 23:35】
いつもの病室。22時。
今夜はめずらしくモーツァルトがかかっている。

クラシック、ワールドミュージック、ユーミン、サラ・ブライトマンなど、妻が好きだった曲を、だいたい150曲ぐらいiPodに詰め込んでエンドレスで流している。

なんだか、音楽に看病させているみたいで、むかし子どもたちが小さい頃、ビデオに子守をさせていたときのような、微妙な申し訳なさを感じないでもない。


   あれ、今日は目がパッチリ開いてるねえ。
   この時間、いつもは眠そうにしてるのに。

     100326.jpg

   明日だけどね、朝から大阪出張で、
   帰りは深夜だから私は来れないと思う。
   その代わり、子どもを誰か派遣するから。
   だれがいい? え? だれ?
  
   Y(2男)は、今日来たから、T(長男)かK(3男)かな。
   でもKは1人で来るのは、ちょっと心配だから
   T+Kか、T1人か、あるいはTYK総出か・・・

   子どもたちはあんまり来ないけど
   みんな、あなたよりも私のほうを心配してるんだよ。
   あなたがいないとぜんぜんダメだってこと、知ってるんだよね。

   そういえば、今日の昼、久しぶりにおばあちゃんが来たでしょ?
   「ずいぶん顔色が良くなってたからビックリした」って言ってた。
   毎日会ってるから、あまり気がつかなかったけど
   顔色、良くなったんだね。
   あ、顔そのものも、もちろん良いよ。
   髪の毛も伸びてきたし、元気なころとぜんぜん変わってない。

     *

むかし「私のどこが好き?」と聞く妻に、私は、たいてい「顔」と答えた。

「ヘンなの。ふつう、ココロとか、セーカクとか言うでしょ?」

「でも、好きだよ、顔」

「顔のどこよ?」

「目と、口と、鼻と、耳と、額や眉毛やほっぺたや・・・ようするに全部だね。いや、全体の組み合わせかな、いや、やっぱりあなたの顔だから、かな。そもそもあなたが好きだから、あなたの顔が好きなのか、あなたの顔が好きだから、あなたが好きなのか、どっちだろう・・・」

「わかった、わかった、もういいよ」

いつも冗談のように言っていたけれど、私はほんとうに妻の顔が好きだった。
妻が笑っていると、ココロから幸せな気持ちになれた。
そして、いつも笑ってくれていたので、いつも幸せだった。

でも思い起こせば、倒れる前の1ヶ月間ぐらいは、なんとなく笑顔が少なかったような気がしないでもない。
やっぱり疲れていたんだろうか。
かわいそうに。かわいそうに。


夫婦の時間/想い出 | 【2010-03-26(金) 23:35】 | Comments:(1)
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ラフマニノフの「晩祷」 【2010-03-31(水) 23:59】
二人きりの夜の病室。

小さなスピーカーからは、ラフマニノフの「晩祷」が流れ始めた。
ロシア正教で夜を通して行われる祈祷会のための無伴奏混声合唱曲。
同じキリスト教でも、東方正教会では楽器を使用しないらしく、教会音楽はすべて無伴奏の合唱曲になるらしい。

「晩祷」は、なぜか私が結婚前からもっていたCD。
人気のラフマニノフではあるけれど、どちらかというとあまり知られていない曲。きっと何かの本で紹介されて衝動買いしたんだと思う。

ジャズやロックがほとんどという中で、数少ないクラシカル(というより、完全に宗教音楽だけど)なアルバムなので、一緒に住み始めた頃、心を落ち着けたい時や寝る前などに、よく二人で聴いた。

長男がお腹にいる時も、胎教に良いんじゃないかということで、毎日のように流していた。
それ以降、今まであまり聴くことがなかったけれど、病室にもってくる曲を選ぶときに、ふと目に止まりiPodに入れていたのだった。

こうして、思い出の曲を二人で聴くと、あの頃のことがすぐ近くまでよみがえってくる。

* ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *

あの頃はさあ、まだTもYもKもこの世にいなかったんだよね。

あなたと私、たった二人だけの家族だった。

おまけにお金もなかったけれど、でも、幸せだったよね。

それがいつの間にか5人家族。

1+1が5になることだってあるんだよと、算数を覚えたばかりのT(長男)と議論したことがあったね。
いや、Y(二男)だったっけか・・・

子どもたちは今、あなたのことで寂しい思いはあるけれど、それでもお互いに支えあって前向きに暮らしているよ。

あなたが安心して帰って来れるように、あなたが帰ってきた時に安心できるように、勉強や家の手伝いやラッキーの世話や、おまけに父親を励ますことまで、それぞれのやるべきことを、ときどきコケながらだけど、それでもしっかりやってくれている。

あなたが育てた通りに、成長してきていると思う。

あ、家から電話が来たよ。
(基本的に病院はケータイ禁止だけど、ここは個室だし、危ない電子機器はないので、カーテンに隠れて電話してます)

K(3男)「まだ帰らないの?」

「もうちょっとしたら帰るよ」

「母さんは、どう?」

「幸せそうに寝てる。さっきまで眼を開けてたけどね」

「電話、出れるかなあ」

「ハハハ・・・ 耳元にケータイを持ってくから、何か話してみなよ」

「(母さーん! 母さーん ◎×△□※◇?*○・・・)」

「そんなに大きな声を出さなくても、耳元に近づけてるから聞こえてるって・・・あれ、母さん、涙が出てきた」

「ホント?」

「ホント、ホント。さっきまで目を閉じてたけど、今はうっすらと開けているし。きっとキミのことが心配なんだね」

「・・・・グスッ・・・」

「んじゃ、もうすぐ帰るから」

* ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *

ほんとに、電話で3男の声を聞いた直後に、まるでドラマのように涙がすっと頬を伝った。

どの程度の意識レベルかは別としても、何かを感じていることは確かだと思う。

ラフマニノフの晩祷、なんだか心の奥深くまで入ってくるような曲です。

夫婦の時間/想い出 | 【2010-03-31(水) 23:59】 | Comments:(7)
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花見 【2010-04-09(金) 23:32】
「ほら、病院の敷地内にある桜だよ」

そう言って、ケータイで撮っておいた桜の写真を見せた。

100409.jpg

妻は、じっと見つめていたけれど、ケータイを視線から外しても、やっぱりずっと同じ所を見ている。

「今年は行けなかったね、お花見。でも、桜は毎年咲くから。来年も再来年も、その次も」

去年まではほぼ毎年、簡単なお弁当を作って近くの公園や土手に行き、ほんの数日間だけせいいっぱいに咲く桜の下で、そのひと時、その瞬間、家族が共にいられる幸せを確かめ合っていた。

「桜は、散るから美しいんだよね」

「でも、ずっと咲いていて欲しい気もするなあ、ワタシは」

「もし花が枯れることなくずっと咲いていたら、当たり前過ぎてキレイだと感じないんじゃない?」

「そうかなあ・・・」

「造花は、どんなにキレイに真似ても、枯れないから、ホンモノの美しさにはかなわない。枯れて、ヨレヨレになって、腐って、捨てられて、土に返るから、ホンモノはキレイなんだよ」

「ワタシたちも、少しヨレヨレだね。アハハ」

「カラダのほうは少し疲れが見えてきているかもしれないけれど、美しさは、ずっと増してきている気がしないでもないよ、アナタのほうは・・・」

「アハハハ! それは、惚れた欲目で見てるからでしょ?」

「欲目だろうがなんだろうが、私にとっては真実なんだけど」

「・・・でも、やっぱりこのまま枯れずにずっと一緒にいたいって思わない?」

「そりゃそうだけどね。でも、もし永遠の命があったら、きっと永遠の退屈が続くだけのような気もする。だって、時間が無限にあるんだから、時間のハイパーインフレになって、時間に価値がなくなる。もし、私が永遠に生きる神だとしたら、死を手に入れるために、人間になりたいと思うだろうね」

「ウーン、ワタシも神さまより、人間のほうがいいな」

「どうして?」

「だって、パパと結婚したいから」

ああ、また、桜の下で、二人、取り留めもない話がしたい。

     *

・・・と、ここで若い看護師さんが痰の吸引に来てくれた。

敷地内の桜がキレイですね、というような話をしていたら・・・

「先日、ちょうど満開の頃に、車椅子で外に出てお花見したんですよ」と話してくれた。

知らなかった。車椅子で出かけたりしていたんだ。
最近はほとんど夜しか来ていなかったから、いつも寝てばかりいると思っていた。

「おとといは天気が良かったし、桜がとてもキレイだったから、外に出てみたんですよ」

嬉しかった。妻はどんなに喜んだろう。

それにしても花見、今年もちゃんとできたんだね。良かった良かった!

夫婦の時間/想い出 | 【2010-04-09(金) 23:32】 | Comments:(7)
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470億km 【2010-04-17(土) 13:17】
妻は、昨日、お風呂に入れてもらったらしい。
そのせいか、どことなくスッキリした感じに見えた。

私たちは、新婚当初から今まで、いつも2人一緒にお風呂に入っていた。
妻が倒れる前夜も一緒だった。

そのほうが経済的だし、楽しいし、いろんな話ができるし、お互いの体の状態(メタボ具合?)を確認(糾弾?)できるし。

仕事が忙しいときは別々の時もあったけれど、私が仕事に打ち込み過ぎてそのまま入らないでしまったりするので、妻がお風呂から「パパ」と呼ぶ声には無条件に従うという不文律があった。

その声が私に届かないようなときは、子どもたちが「母さんが呼んでるよ」と教えてくれた。
仕方なさそうに浴室に向かう私を見て、子どもたちは「父さんは幸せ者だね」と言っていた。

1月15日の昼も、妻は浴室から「パパ」と呼んだ。
それは、脳出血で意識が薄れかける中で必死に搾り出した助けを求める声だった。
あのとき以来、私はずっと1人での入浴。たまにラッキーが一緒に入るけれど。

     *

50歳になって2日目。
今日は2男の誕生日。
たった2日違いなので、誕生パーティはいつも合同(というより、私のほうは「ついで扱い」)だった。

今日は、おばあちゃんと長男が料理を作り、2男と3男がケーキを作るということになっている。
去年のクリスマスは、たしか妻+2男+3男でケーキを作った。おいしかった。

50年という歳月。
私が生まれてから今まで地球は太陽の周りを50回廻ったということになる。
距離にして約470億km。
ちなみに公転速度は時速10万km、秒速だと30kmぐらい。
寝ていても、歩いていても、走っていても、悩んでいても、泣いていても、笑っていても、おかまいなしに凄まじいスピードでグルグル廻っている。
そしていつのまにか、470億km。

なんだか分からないけど、とにかくすごいことのような気がする。

夫婦の時間/想い出 | 【2010-04-17(土) 13:17】 | Comments:(5)
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幻の2ショット 【2010-04-24(土) 23:51】
昼過ぎに病院に行くと、神奈川からKさんが来ていた。
なぜか、Kさんとはこうして顔を合わせることが多い。
遠くから、わざわざきていただいて、いつも大感謝です。

午前中は、年配のご夫婦が面会に来られたということを受付で聞いた。
きっと、T先輩夫妻だと思う。

妻は昨日から少し熱が出ているらしい。
どうも引越しの疲れが出たのかもしれない。

先日の面接のときに、リハビリチームのリーダーから妻の性格や趣味などを質問された。
底抜けに明るい性格だったことや、好みの音楽のジャンル、料理、庭いじりが好きなことなどを伝えた。
リーダーは、私の話の1つ1つに関心を示し、メモをとって聞いていた。

考えてみれば、時間的にも、ケア内容的にも、家族以上に密接に関わることになるのだから、妻がどんな人間なのかということを知っていただくのは、とても大切なことだ。
当の本人がまだ何も反応できない(人格を表現できない)のだから、なおさらのこと。

その手がかりの一つとして、家族との関わりが分かるような写真をいくつか選んで、ベッドの横のコルクボードにピンで留めてきた。

写真を選ぶときに苦労したのは、私自身が妻と一緒に写っているものがあまりに少ないということ。
だいたい私は撮影する側にまわることが多い上に、撮影対象は、子どもやラッキーがほとんど。

妻と私の2ショットとなると、ここ20年の間に、ほんの数枚あるかないかだったということを、あらためて気づかされた。
しかも、その数枚はみな新婚当初のもので、ここ最近のものとなると皆無に近い。
さすがに、披露宴の時の写真を飾るのは、いくらなんでも気が引けるし、恥ずかしいし。

そこで長男が、PhotoShopという写真加工ソフトを使ってPCで「夢の(幻の?)2ショット」を実現してくれた。

元の写真は、おととしの秋、イギリスから留学生(高校生)が短期ホームステイに来た時、彼を間に挟んで3人で記念撮影した時のもの。こういう機会がないと、めったに2人一緒にフレームに収まることがない。
(ちなみに、その年の春には長男が向こうの家にお世話になっている)

その留学生の彼には申し訳ないけれど、この際とりあえず消えていただいて、晴れて夫婦の2ショットとして生まれ変わった写真が↓コチラ。

100424b.jpg

留学生の肩に回していた私の右腕は、こうして妻の肩に回され、なんとも良い感じの2ショットになった。
この写真、「事実ではない」けれど、いつもこんな感じで仲良くくっついていたので、「真実」ではあります。

夫婦の時間/想い出 | 【2010-04-24(土) 23:51】 | Comments:(5)
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胃瘻手術/畑仕事 【2010-05-06(木) 23:58】
今日は胃瘻(いろう)手術の日。
私は仕事で立ち会えなかったけれど、きっとうまく行ったはず。

ようやく鼻からのチューブも取れた。
口からのチューブは約1ヵ月前の気管切開以降、なくなっているから、これで顔周りがスッキリしたことになる。

鼻や口から、お腹にまでチューブが通してあるなんて、考えただけでも、吐きそうになる。
妻は、歯磨きをしているときでさえ「オエッ!」となるくらい、そういうのに弱い人だったので、さぞかしつらかっただろうと思う。

こうしたチューブが外れることは、意識レベルの向上にも効果大だと、ドクターが言っていた。

     *

妻は、実家が農家なので、もともと畑仕事が大好き。
小さな庭で野菜やハーブ、花を大切に育てていた。

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去年の今頃は、春先に植えたキューリやゴーヤが芽を出し始めていた。
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          <去年の夏の収穫>
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     *

妻が倒れてから、小さな庭の畑は、ほとんど放置状態。
「妻が帰ってきてからやろう」という思いと、「妻がいなければ、どうせつまらないし」という思いから、どうしても種を播く気にならなかった・・・。

暑かった連休最後の日、強い日差しが部屋に入って来たとき、妻が育てたキュウリやゴーヤが私の仕事場の日除けになってくれたことを思い出し、「かあさんのゴーヤチャンプル、おいしかったよなあ」と言ったら、長男が「オレが作るよ」と言った。

それで、急に思い立って、近所のホームセンターで種を購入。
妻がやっていた方法を思い出しながら、キューリやゴーヤやトマトやハーブを植えてみた。

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ちょっと時期が遅かったかもしれない。
それに妻のように、上手にはできなかった。
でも、なんとか芽を出してくれたら、嬉しい。

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そしたら不思議と、連休中に実家に戻っている母からジャガイモやナスの苗が送られてきた。
またこっちに来たときに育てようと思っているらしい。
さっそく、それもポッドから土に植え替えた。
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畑仕事をして、土をいじり、汗をかいたら、心が軽くなった。
土の中では、ミミズやダンゴムシやらが、一生懸命に生きていた。

夫婦の時間/想い出 | 【2010-05-06(木) 23:58】 | Comments:(2)
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ナラティブ ノート&アルバム 【2010-05-13(木) 23:12】
妻のベッドの横には、ナラティブノートとナラティブアルバムが置いてある。

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ナラティブノートは、看護師さんやリハビリスタッフ、面会者、患者本人など、誰でも自由に書ける交換日記のようなもの。
連絡事項から、要望、思い出話、ひとりごとまで、何でもありだ。

ナラティブ アルバムには、妻が生きてきた歴史の1コマ1コマを集めて入れてある。

長男が写真にコメントを入れて1枚1枚、作ってくれた。

療養型病院という性質上、長い付き合いになることが前提になっている。
それだけに、単なる「患者」としてではなく、1人の人間として受け止めたいという、病院側の考えが、こうした心遣いの中に現れている。

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 病院の掲示板に貼ってあるナラティブの説明


こうして20年間の写真を見てみると、なんて幸せな日々だったんだろうと、思う。

結婚。子どもたちの誕生。入学式。卒業式・・・。

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1枚1枚、写真をかざしながら、妻に語りかけた。

     *

  これは、○○(長男)がお腹にいる時の写真。
  お互いママとパパになる直前だね。

  こっちは、3人の息子を従えるゴッドマザーという感じ。

  クリスマスパーティ。あなたが作ったケーキに子どもたちは大喜び。

  雪がどっさり降った日は、みんなで小さな雪だるまを作ったね。

  ○○(2男)が高校、○○(3男)が中学の入学式の時の写真。
  あなたはずいぶんしみじみとしてた。

  ラッキー(4男)の運動会は、ついこのあいだのこと。

  私たち、幸せだったね。本当に幸せだった。

  いろんな所に行って、いろんなことを経験した。

  でも、いま一番思い出すのは、一緒に買い物したり、
  一緒にお茶を飲んだり、一緒に散歩したり・・・
  何でもない、普通のことばかり・・・。

     *

あさって、土曜日の昼、リハビリスタッフの指導のもと、車椅子に乗せるための講習を受けることになった。家族みんなで来れればと思う。

  それじゃ、今日はもう帰るね。
  今夜は○○(長男)がミートソースを作ってくれている。
  あなたのよりウマイかも・・・と本人は言ってるけど、
  どうだろうね・・・。

夫婦の時間/想い出 | 【2010-05-13(木) 23:12】 | Comments:(2)
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最高のHappy Birthday フォトレポート 【2010-06-04(金) 18:28】
5月28日は、妻の53回目の誕生日だった。
夫婦共に入院中という状況で、お祝いどころではないと思っていたけれど、5月28日の記事にも書いたように、ずっと家族ぐるみでお付き合いをしてきたT夫妻が、長男と3男と、そしてラッキーも一緒に、心づくしの誕生会を開いてくれた。

そのときの様子を、ビデオからの静止画キャプチャーでレポートします。

100604-1.jpg
病院の敷地内にある小さな公園。
さわやかなとても天気の良い1日だった。

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4ヶ月ぶりの「母子」の再会。

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ラッキーは、くんくんと匂いをかぎながら、母を思い出しただろうか・・・。

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柔らかなラッキーの毛の感触。

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いつも、ほおずりして、可愛がっていた。

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いつもならすぐに抱っこしてくれるのに、今日はどうしたんだろう? という感じのラッキー。

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ケーキには、ちゃんとキャンドルまで。

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53歳。下1ケタで、3本に点火。

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みんなで、♪Happy Birthday♪を歌ってくれました。

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ケーキの後は、公園をぐるっと散歩。
車イスを押しているのは3男。
後ろの2人は、長男とTさん。
100604-11.jpg


100604-12.jpg
病室に戻り、車イスからベッドへの移動。
先回、講習を受けた長男と3男が担当。

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カワイイ息子たちに抱きかかえられて幸せそうな妻。
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おかげさまで、最高の誕生会でした。

夫婦の時間/想い出 | 【2010-06-04(金) 18:28】 | Comments:(4)
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妻が倒れてから半年と半月 【2010-07-31(土) 23:08】
夏休みを前に仕事が一段と忙しくなり、1週間ぶりの病院。

病室に入ると妻はぐっすり眠っている様子だったけれど、「ゴメンネ、なかなか来れなくて」と話しかけたら、すぐに眼を開いてくれた。しかもパッチリと。

どうしても聞こえているような感じしてならない。
いまこうしてベッドの横でPCのキーを叩いている間も、妻は私のほうをじっと見ている。

見た目は倒れる前と変わらない。
いや、ほとんど日に当たらないせいか、肌が白くスベスベして、むしろかえって若返ったような感じさえする。

ツメを切ってあげるたびに、手や指がキレイになっていくような気もする。

100731.jpg

今日で7月も終わり。
妻が倒れてから半年と半月が経った。

こんなことが自分たちの身に起こるなんて想像もしていなかったけれど、考えてみれば、彼女と結婚できたことのほうがもっと不思議で奇跡的なことのようにも思える。

その最も不思議で奇跡的なことが既に起こったわけだから、これからどんなことでも起こり得るような気がする。

3人の子どもたちにいつも言っていたこと。
「君たち3人が束になってかかってきても、母さんの大切さとは比較にならない」
それを聞いて子どもたちは、悔しそうにもしていたけど、嬉しそうでもあった。

「君たちは、やがてそれぞれ別の家庭を築いていく。でも母さんとはずっとずっと一緒。”あの世”というのがあるとしたら、そこでもずっと一緒。親子と夫婦は基本的な関係性がぜんぜん違う。」

一緒に会社を経営し、人生のすべてを共有してきた人が、こんな状態にいることは、とってもつらく寂しいことではあるけれど、でも、決して”不幸”ではないということも感じている。

なんだかんだと、いろんな人に助けられているし、仕事もちゃんとやれているし、子どもたちはそれなりに前向きにがんばっているし、何よりも妻は息をして、眼を開き、見つめ合うことだってできる。
もしかしたら、話は通じているのかもしれないし。

今日は、私が来てから、こうして仕事の原稿やブログを書き終わるまでの間、約2時間、ずっと眼を開いていてくれた。

帰ろうと思っても、じっとこっちを見ているので、なかなか帰れない。
手をさすり、髪を撫でて、思い出話をして、ゆっくりと目が閉じるまで、いることになった。

おかげで夕食を作る時間がなく、子どもたちは自分たちで簡単に何か作って食べたらしい。

思い過ごしかもしれないけど、妻の様子、今までと、ちょっと違う気がした。


夫婦の時間/想い出 | 【2010-07-31(土) 23:08】 | Comments:(5)
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サラ・ブライトマン再び 【2010-09-05(日) 23:09】
妻に、昨日のコンサートのことを報告。

  昨日、久しぶりにコンサートに行ってきたよ。
  「火の鳥」――あなたは、こういうのより
  もっと分かりやすい曲が好きだったけど、
  でも生で聴くと、素晴らしかった。

  そういえば、またサラ・ブライトマンの日本公演があるらしい。
  また行けたらいいね。

     *

妻は、サラ・ブライトマンが大好きだった。
それならということで、同じような人(クラシカルな声楽の土台の上でポップスを歌っている女性シンガー)の曲をいろいろ聴かせたけれど、ほとんど興味を示さず、ひたすらサラだけを聴きたがった。

「声の透明感や優しさがぜんぜん違う」――それが妻の感想だった。

「生きているうちに一度は生で聴いてみたいな。でも、イギリスに行かないと無理かなあ・・・」と言っていたら、去年の春、日本公演(武道館)があるという情報が入り、即チケットを2人分購入。

さすがに大人気らしく、すぐに申し込んだのに、取れたチケットは2階席の真ん中あたり。
それでも妻は、神がかりのような歌声をオペラグラスを握り締めつつ全身で聴き入っていた。

「どうしてあんなふうに歌えるのかなあ」と妻。

「あなたの歌のほうがずっといい感じだと思うけど・・・」

「なにバカなこと言ってんのよ!」

でも、妻の歌声は本当に素晴らしく、私はいつも感動させられていた。
だから、半分以上、本気で言ったつもりだったんだけどね。

「声の透明感や優しさが、ちょっと違う気がする・・・」

「アハハ、そんなこというの、パパだけだよ」

気管切開を打診されたときに、一番つらかったのは、もう妻の歌が聞けなくなるということだった。

回復すれば、また声は戻るということを聞いて、安心はしたけれど。

夫婦の時間/想い出 | 【2010-09-05(日) 23:09】 | Comments:(2)
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2人で散歩 【2010-09-18(土) 22:30】
3連休の初日。秋晴れ。気持ちの良い1日。

中2の3男(K)は体育祭。

いつもなら妻が特別なお弁当を作る日。

「今年はお弁当、どうなるかなあ・・・」と心配していたKは、長男(T)が少し早起きして作った弁当を持って、元気に学校に行った。

近くなので見に行ってやりたかったけれど、ラッキーは運動会の喧騒とピストルの音が大キライ。
去年は応援の太鼓やピストルの音にビビリが極限状態になったので、すぐに帰ってしまった。
20100918a.jpg
 (運動会でビビる去年のラッキー。いつもはピンと上向きの尻尾が完全に股の間に・・・)

高2の2男(Y)は文化祭。
喫茶店を出店するらしいけど、ちょっと遠いので、こちらもやっぱり行けそうもない。
そもそもあまり来て欲しそうでもなかったし。

というわけで、結局、私は今こうして妻の所にいる。

 「天気が良いから外に出てみようか。」

妻を車イスに乗せ、病院の周りを散策。

20100918_b.jpg

さわやかな秋の風が通り過ぎる。
猛暑が続いている間は、とても外に連れ出すことはできなかったけれど、今日はとても気持ちが良い。

  「2人だけで散歩するのは、ずいぶん久しぶりだね」

20100918_c.jpg
 (まぶしそうだったから、私の帽子を被せた。ちょっとカッコワルイけどゴメン)

こんな天気の良い日は、2人でよく車に乗り、ちょっと遠くの大きな公園に出かけた。
仕事がヒマな時は、週に2~3日もそういう日があった。
去年からはラッキーも一緒。

  「ラッキーも連れてきたかったけれど、私が病室にいるときは
  長いこと車に入れておくことになるから、かわいそうだしね。
  こんど誰か一緒に来れる時に連れてくるよ」

子どもたちのことや、ラッキーのこと、庭のトマトが豊作だったこと、でも今は全部枯れてしまったこと、近所のスーパーがリニューアルしたこと、仕事は順調に進んでいること、家の中は少し散らかっているけどなんとかやれていること、料理のレパートリーが増えたこと、新しい包丁を買ったこと・・・などなど、ゆるゆるといろんな話をした。

20100918_d2.jpg

ベンチに座って顔を見ながら話すと、時折、眼を見開くような反応を示すことがある。

ただの反射なのかもしれないけれど、話の内容に注目しているのかもしれない。

そういえば、PT(理学療法士)のSさんが、こんなことを言っていた。

「ときどき、手を握り返してくれるんですよ。反射だとは思うんですけど、どうもそう思えないような時もあるんですよね」

――あれこれ話していたら妻との散歩は1時間近くにもなってしまった。
そろそろ、昼のリハビリの時間。
病室に戻ると、そのSさんが待っていた。

「長い散歩でちょっと疲れていると思いますから、今日はリハビリではなくマッサージの講習をしましょうか」
Sさんはそういって、私に効果的なマッサージ法を教えてくれた。

Sさんは妻の右手右足、私は左手左足を担当。

イケメン2人?を従えて、なんだか偉そうにふんぞり返っている感じの妻。

窓の外の木々が静かに揺れる。
雲の流れをうつして、日が照ったり翳ったり。
幸せの感じ――私が受け入れさえすれば、そう思えなくもない秋のひと時。

さあ、そろそろ帰って子どもたちの夕食を作らないと・・・
妻のなかでは、どんな時間が流れているんだろうと、思った。


夫婦の時間/想い出 | 【2010-09-18(土) 22:30】 | Comments:(7)
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遠い記憶がよみがえる 【2010-09-26(日) 23:11】
病室に入ると、妻は気持ちよさそうに寝息を立てて眠っていた。
ふと見ると、ベッド横の棚には、以前から置いてある写真の隣に、初めて見る写真が2枚、飾ってあった。

100925a.jpg

一番右にある1枚は、私たち夫婦の2ショットで、熱海のT夫妻が我が家に来た時のもの。

写真の中の妻は、楽しそうに笑いながら、何か話をしている。
その横で私はのんびりとくつろいでいる。
子どもたちの姿は見えないから、ご馳走を食べた後の、大人だけの語らいの時間だと思う。

その隣の1枚には、妻とラッキーが写っている。
去年の夏、熱海のT夫妻宅に夫婦で行った時のものだ。

妻は、キレイに片付けられたリビングの床に座りながら、上向き加減で、やっぱり楽しそうに何か話している。
きっと、立っている誰か、私かTさんと話しているんだろうね。

さらに枕元のミニアルバムを開いたら、10数枚の写真が追加してあった。

何年も前の写真もある。
子どもたちがあまりに幼くて、笑ってしまった。

「Tさんが来て写真を置いていってくれたんだね」と話しかけたら、妻は眼を開いてくれた。

1枚1枚、妻の目の前にかざして、思い出話に花を咲かせた。

「ああ、私たちはこんなに幸せだった。思えば20年間、いつもいつもこんな感じだったね」って。

100925b.jpg

ここに記録された瞬間は、いうまでもなく、すべて確かにこの通りに起こった出来事だ。

あの日あの時、私たちが反射した光がレンズを通してフィルムやディスクに焼き付けられた光の痕跡。

過去の遠い記憶ではあるけれど、今日はなんだかとっても新鮮に感じられる。

夫婦の時間/想い出 | 【2010-09-26(日) 23:11】 | Comments:(2)
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妻の涙 【2010-10-03(日) 22:31】
日曜日。予報がはずれて、とても良い天気になったので、車イスで外に連れ出そうと思ったけれど、時間が遅く、暗くなりかけていたため、今日も病室でお話を。

  最近、私、ちょっと涙もろくなったかも・・・
  人の優しさに触れると、わりとすぐにウルッと来てしまうんだよね。
  もちろん、まだ、あなたほどではないけれど・・・

     *

妻は、テレビを見ていて、ちょっとでも感動的な場面になると、すぐにグスッとなる人だった。

いかにも安っぽいお涙頂戴的シーンでも、演出のネライ通りに、いつもいつもストレートに反応する妻に、私は「あーあ、まんまとテレビにのせられて・・・」とヤボな言葉を投げていたっけ。

ほんとは、妻のそんなところが大好きだったんだけれど。


いつだったか、宗教の伝道の人がたずねて来たとき、妻は、インターフォン越しにも関らず長々と涙ながらに話し込んでいたことがあった。

話に耳を傾けてみると、どうも子どものことや夫のことをベラベラとしゃべっているらしい。

「いまは人間関係で悩んでいる人が多いですよね」というような相手の投げかけに対して、「私は家族の愛に満たされているから幸せです」というような話の流れだった。

相手の人が聞き上手(商売柄?)で、適宜にほめてくれるものだから、自分の家族がどんなに素晴らしいかということを、ほとんど検閲なしの状態で、涙も鼻水もズルズル流しながら、話しまくっていた。

あとで私は「見ず知らずの人にそんなことまで言っちゃダメだよ。しかも泣きながら・・・」と、ちょっと怒ったように注意したけれど、ほんとはあの時、「なんて素直で純粋でかわいい人なんだろう」と、ちょっと誇らしかったんだ。

妻の涙。悲しくて流したことよりも、嬉しくて感激して流したことのほうが多かったと、思いたい。


夫婦の時間/想い出 | 【2010-10-03(日) 22:31】 | Comments:(2)
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カートを押す夫たちの幸せ 【2010-10-23(土) 14:49】
ここ数ヶ月間、日常の買い物は私が1人ですることが普通になってしまったけれど、妻が倒れる前日までは、いつも2人一緒に出かけていた。

妻は車の運転もできるし、買う物はほとんど食材だから、私がいてもあまり役には立たないのだけれど、いつも「一緒に行こう」と誘われた。

「仕事、まだ途中なんだけど・・・」

「いいじゃん、気晴らし気晴らし!」

「私が、ここで1時間仕事をするのと、1時間買い物に付き合うのと、わが社にとって、どっちがプラスかなあ。名誉会長(裏の社長)としてはどう思う?」――なんていう皮肉も、「今夜はおいしいもの作ってあげるから、ね、行こう行こう!」というストレートな誘惑で吹き飛ばされ、結局いつも付き合うことになった。

平日昼時の店内。たいていは奥さんが一人で買い物をしている。
こうやってダンナがカートを押して奥さんの後をついて回っているのは、きっと自分ぐらいだろうな、と思っていた。

あれこれ食材を物色しながら楽しそうに買い物をする妻を見ていると、それなりに幸福感はあったけれど、あまりに日常のことなのでありがたさも薄れ、とにかく早く帰りたくて「何でもいいから早くして」と、急がせていたばかりいたように思う。

いま思えば、妻は「夫婦で買い物をする」という何でもない日常、買い物という行為そのものが、楽しかったんだろうと思う。だから、いつも2人で行こうとしていたんだろうね。

     *

妻が倒れてからは、夕方から夜にかけて1人で買い物に行くことが多くなった。
惣菜などが半額になっていたりするので、お手軽に1食分ができてしまう。

その時間帯、店内を見渡すと、「カート夫」が予想以上に大勢いることに驚く。

「今夜は、煮物でいい?」とか、「これ、どう? 食べたい?」とか聞かれて、「ああ」とか、「そうだね」とか、「なんでもいいよ」とか、応えている。

それはまさに1年前の自分の姿そのものだ。
一見、夫たちは退屈でつまらなそうだけど、それがどんなに幸せなことか、今は身にしみて感じる。

「これでおいしいスープ作ってやっからね!」――妻と同じような年代の「肝っ玉お母さん」という感じの人が、大きな肉のかたまりを手にとって、カートを押す夫に得意げに語りかけた。
きっと、ダンナの好物なんだろうなあ。

そんなときは、自分が独りでいるということが浮き彫りになっているようで、ちょっとだけつらくなる。

妻が作るスープは、いつもおいしかった。
味噌汁も中華スープもポトフも。煮物も炒め物もおいしかった。
カレーもシチューもパスタも野菜炒めも肉じゃがも青椒肉絲もクッパもぶっかけうどんも生姜焼きもサラダも手作り餃子も手作りハンバーグも、ぜんぶおいしかった。

今スープは、お湯を注ぐだけのインスタントものですませてしまっている。
ときどき、料理の得意な長男がポトフを作ってくれるけれど。
それなりにおいしい。

夫婦の時間/想い出 | 【2010-10-23(土) 14:49】 | Comments:(15)
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不思議な夢 【2010-10-24(日) 19:48】
不思議な夢を見た。

なかなか部屋が片付かなくて、ちょっと途方にくれ気味の午後。
日ごろの寝不足がたたってか、目から胸のあたりに眠気が広がってきたので、ソファにもたれかかり、ラッキーと一緒に昼寝をしていた時のこと。

目の前にエプロン姿の妻が現れた。
いつものようにニコニコ笑っている。

夢の中の私は、なぜか自分が今ソファで眠っているということを知っている。

「あれ、夢に出てきてくれたんだ」

そう言うと、妻は静かにうなづいた。

「夢なのに、なんだかほんとにそこにいるみたいだね」

妻は、ただただ微笑んでいる。

「夢だから、しゃべれないんだね」

少し悲しげな顔をした(ように見えた)

これは夢であるということがはっきりと分かっている夢――そういう夢を見たのは初めてのこと。
とてもフシギな感覚。

それに比べて、目の前に現れた妻は、とても夢とは思えないほど、物理的にリアルに存在している感じだった。

触れてみたかった。
抱きしめたかった。

でも、触れた瞬間に消えてしまいそうな気がして、なかなか踏み出せなかった。

「ちょっと、触ってもいい?」

かすかに頷いたように見えた。

右のほおに手を当てると、暖かで、すべすべしていて、懐かしい妻の肌だった。

「夢なのに、ちゃんと触った感触があるんだね」

そんなことを言っても、妻はただ笑っているだけ。

髪の毛に触れると、とても柔らかな感じがした。

白髪、いつの間に染めたんだろう――そう思っていると、目が覚めて、現実が戻ってきた。

私は、ラッキーの柔らかな背中を撫でながら、ソファにうずくまっていた。

眠っていたのか、白昼夢のような幻想だったのか、とてもとてもフシギな時間だった。


  幻想が向ふから迫つてくるときは
  もうにんげんの壊れるときだ

――そんな賢治の詩が思い出された。

     *

夢で会った妻は、いま私の横でスヤスヤ眠っている。

「今日の昼、私の所に来てくれた?」

そう聞いても、ただじっと見つめているだけだった。

「ごめんね、毎日来れなくて。はやくまた一緒に暮らせるといいね」



夫婦の時間/想い出 | 【2010-10-24(日) 19:48】 | Comments:(4)
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母は強し(恐し?)! その2 【2010-10-29(金) 00:18】
独立して会社を立ち上げたばかりの頃。
夫婦2人、ファミレスで安い日替わりランチを食べながら打ち合わせ。
一応、2人で経営している会社なので、重役会議といったところか。

社長と裏社長の2者巨頭会談を終えて駐車場に向かうと、ちょうど隣の車の人がドアを開けて乗り込もうとしていた。
若い夫婦で、奥さんは乳児を胸に抱えていた。その奥さんがドアを開ける時、ウチの車にコツンとぶつかるのが見えた。
それでも、何事もなかったように車に乗って発進しようとしている。

数秒後に車にたどり着いた私は、ドアのあたりに、ほんのわずかなキズを確認した。
それはほんとによく見ないと分からないようなキズだったし、赤ちゃんを抱いているせいで少しバランスが崩れたんだろうと思い、まあいいかとエンジンをかけた。

ところが妻はいつの間にか相手の車の前に立ちはだかって、「人の車にぶつけておいて、そのまま行ってしまうんですか?」と、少し強い口調で詰問している。

「ぶつかったの、分かってますよね? こんなにかわいい赤ちゃんがいるのに、親としてそれでいいんですか?」と、見ず知らずの人にお説教モード。

――なにもこんな程度のキズでそこまで言わなくても・・・と思っていると、相手の奥さんが車から出てきて、

「申し訳ありません。ちょっと当たっただけだと思ったので、だいじょうぶだと思ってしまいました」と平謝り。

ダンナさんも出てきて、「私も気づいていながら、見過ごしてしまいました。ほんとにスイマセン。キズは弁償させていただきます」と、頭を下げた。

「弁償していただくようなキズではないです。そういうことじゃなくて、ただ一言、謝ってほしかっただけですから。もうだいじょうぶですよ。かわいい赤ちゃんですね」

「いや、しっかりと注意していただいて、かえって心が晴れました。どうしても気がすまないので、ご住所を教えていただけないでしょうか。塗装を簡単にカバーできるものもありますし」

ダンナさんがどうしてもと言うので、妻は、出来上がったばかりの会社の名刺を渡して別れた。

     *

「こんなに強い面があったんだね」――助手席の妻にそういうと、

「あの赤ちゃんをしっかり育てて欲しいと思ったら、ついつい言葉が出ちゃった。もし相手が恐い人だったらと思うと、ちょっとゾッとするけどね。でもパパがいるし」

「おいおい、カンベンしてよ・・・」

翌日、その夫婦は、菓子折りと、ウチの車の色の塗装修復ペンを持ってたずねてきた。

妻は、家にあったお菓子をかき集め、ちょっとこれじゃ足らないと思ったのか、実家から届いたばかりの米を袋に入れて無理やり相手に押し付け、「元気に大きくなってね」と赤ちゃんの頭を撫でた。

夫婦の時間/想い出 | 【2010-10-29(金) 00:18】 | Comments:(3)
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母は強し(恐し?)! その3 【2010-10-30(土) 00:06】
「母は強し(恐し?)!1と2」を自分で読み返してみると、なんだか、よけいに妻が「立派な人」みたいな感じになってしまっているようで、ちょっと気が引けてます。
事実ではあるけれど、どうか「妻命」な夫が書いている「欲目」が絡んだ内容であるということで、少し割り引いてお読みください。
とりあえずここで、いかにも「ジコチュー?」な面のエピソードを1つ。

     *

夫婦+ラッキーで散歩をしていた時のこと。
いつもの遊歩道に、ネコが1匹たたずんでいた。

ラッキーは、いつもネコに興味津々。
たいてい自分より小さいので、恐がることなく近づいては、ウナられて後ずさりするというパターン。

この日も同じように、間合いを計りながらソロリソロリと…。
1メートルぐらいにまで近づくと、おとなしそうにしていたネコが急に背中を盛り上がらせて威嚇のウナリ声を上げた。

少しビビッて、後ずさりを始めるラッキー。

私にとってはいつもの光景。ところが・・・突然、妻が、ヴーッとウナリだした…。

ハア!? なにそれ!? と驚く私。

どうも妻はラッキーに加勢しようとしているらしい。

「冗談でしょ・・・」と言って、笑ってしまったけど、どうも妻はホンキでネコを脅しているようすだ。

「ネコ脅してどうすんの? ネコだって自分の場所を守ろうとしてるんだしさ」

私の忠告など、ぜんぜん耳に入らない感じで、ネコと対峙する母と子。

急に日が翳って、その間を冷たい風が通り過ぎた――(ような気がした)。

ああ、なんてフシギな光景。

ネコのほうも、なかなかひるまない。
全身の毛を逆立てて応戦しようとしている。

1分ぐらいにらみ合っただろうか。
いつまでも終わりそうにないので、もう行くよと、強制的にリードを引っ張り、その場を離れた。

「あれさあ、ズルイでしょ。ヒキョーでしょ。オトナゲないでしょ。2対1でさ!」

「だって、ヴーッてすごい声を出すんだもん」

(それって、あんたの声だろうが)・・・どうもわが子のことになると、妻はときどき見境がつかなくなるところがある。

「なにも、ネコを相手にホンキになることないでしょ・・・」

憮然とした表情の妻。

その横顔を見てると、この人、相手がライオンでも向かって行くんじゃないの・・・と思ったほど、コワかった。

(ネコ派の人、スイマセン。ちなみに私はネコも大好きです。というか、ヘビでもトカゲでもカメレオンでも、大好きです。というか、以前、それ飼ってたし・・・。ホントは妻もネコが好きなんですけどね。)

夫婦の時間/想い出 | 【2010-10-30(土) 00:06】 | Comments:(2)
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